はじめに|変化する就労支援:在宅就労への関心が高まる
就労訓練は、現状の枠組みで働くことに制約がある人々を対象に、スキル習得や職場定着のサポートを行う制度です。例えば、療養中の方や障害を持つ方だけでなく、介護・子育てなどライフステージ関連の事情がある人にとっても、働き方の問題は切実です。
とりわけ障害者雇用においては、2024年に障害者雇用率の計算方法が変更され、短時間勤務でも0.5人とカウントされるようになりました。 これにより、短時間のために体調に制約のある人がオフィスに行くよりも、在宅ワーク・サテライトオフィス勤務のような柔軟な働き方が、より注目を浴びています。
従来の就労支援は「決まった時間にオフィスへ通い、一般的なコミュニケーションを学ぶこと」に重きを置いてきた部分があると感じられ、私はそれに違和感を感じていました。制約のある人々を「メジャーなあるべき働き方」とされる、でも今現在のものにすぎない枠組みにねじ込むことが前提なのも、雇用側・労働者側のどちらも大変であるうえ、障害がなぜ障害なのかと考えてもナンセンスだと思っていました。
在宅ワーク・IT系就労に強いユニークな訓練機関3選
障碍者就労のためではありませんが、くしくも在宅ワークが珍しくないものになった現在。時に障害特性を活かした職種も視野に入れることが、職業人である以前に各自の人生を生きるすべての個人にとって、クオリティオブライフを上げることになると思います。
制約がある人が柔軟に働きやすい枠組みがあることで、子育てや介護などのライフステージ、病気・障害などのアクシデントがあっても、自助努力でなんとかできるパターンが増え、持続可能な社会にもなります。
そこで本記事では、 ITスキルを活かした就労訓練や、在宅ワークを前提とした就労支援を提供する「ニューロダイブ」「マナビー」「MamaEduプロジェクト」 を紹介します。
支援機関 | 主な対象 | 学べるスキル | 特徴 |
---|---|---|---|
ニューロダイブ | 発達障害の方 | データサイエンス・AI・RPA | 高度ITスキルで専門職を目指す |
マナビー | 在宅ワーク希望者 | Webデザイン・プログラミング・事務 | eラーニングで在宅就労支援 |
MamaEduプロジェクト | シングルマザー | Webデザイン・マーケ・ライティング | 最大193万円の補助金が利用可 |
①AI・データサイエンスで専門職を目指す|ニューロダイブ
「ニューロダイブ」 は、発達障害(ASD・ADHDなど)を持つ人が、AIやデータサイエンスといった先端ITスキルを学び、専門職としての就職を目指す就労移行支援サービスです。
特徴
データサイエンスやAI、RPAを学べる
ニューロダイブでは、PythonやRを活用したデータ分析、機械学習、BIツール(TableauやPower BI)、RPA(WinActor・UiPath) など、現在需要が高い専門ITスキルを学べます。
個別学習計画で専門性を伸ばす
ITアドバイザーが個々の適性に応じて学習プランを作成し、効率的に専門性を伸ばせます。
高い就職率、エンジニアにマストなポートフォリオ作成も指導!
IT企業への就職実績が豊富で、定着率も高いことが大きな魅力。現役データサイエンティストによるポートフォリオ(実績見本)作成の指導も受けられ、エンジニアとしての働き口を見つけるために必要な、長く生きるスキルも身に付きます。
おすすめポイント
発達障害の特性と親和性が高い、データ分析やプログラミングといった「論理的思考」 を活かせる分野での活躍を目指せるのが魅力です。また、フルリモートでのIT職への就職も視野に入るため、柔軟な働き方がしやすい のもメリットです。
② 在宅ワーク特化型・eラーニングで学べる就労支援|マナビー
「マナビー」 は、在宅ワークを前提とした就労訓練が特徴の支援機関で、オンライン学習を活用してスキルを習得できます。
特徴
在宅で学べるeラーニング
Webデザインやプログラミング、ライティング、事務スキル(Word・Excel・PowerPoint)など、在宅ワークに役立つスキルをオンラインで学べます。
全国に事業所がある
宮城・東京・大阪など各地に拠点があり、サポート体制も充実しています。
在宅就労前提のキャリア支援
修了後の就職支援もあり、クラウドワークやリモート勤務が可能な職種へのマッチングをサポート。
おすすめポイント
在宅ワークによる就労を見据え、主軸を置いて支援を行う点が、従来の就労支援とは一線を画します。「オフィスに通うのが難しい」「自宅でできる仕事を探したい」 という方におすすめです。
③ひとり親が補助金を活用し在宅訓練できる|mamaEdu(ママエデュ)プロジェクト
「MamaEduプロジェクト」 は、シングルマザー・ひとり親(シングルファザーも可)の方が補助金を活用しながら在宅ワークスキルを習得できるプログラムです。
特徴
最大193万円の補助金を活用
「専門実践教育訓練給付金」により、受講費用の最大70%を補助+生活支援給付も受けられるため、経済的負担を抑えて学習できます。
在宅ワークに特化したスキル習得
Webデザイン(Illustrator・Photoshop)、プログラミング(Python・Java)、デジタルマーケティング、ライティングなど、自宅で稼げるスキル を学べます。
子育て中でも学びやすいオンラインカリキュラム
子育て中の方でも学びやすいオンラインカリキュラムで、自分のペースで学習可能。
おすすめポイント
子育てと仕事を両立したいシングルマザーにとって、補助金を活用しながら手に職をつけられる、珍しい選択肢だと感じました。子育てや家事があるためまとまった時間は取れない、在宅で働きたい という方によさそうです。
5. まとめ|新しい時代の就労支援
これまでの就労支援は、「オフィスで働く前提」で設計されているものが多く、在宅ワークや専門職向けの支援は十分ではありませんでした。 しかし、ニューロダイブ・マナビー・manaEDUプロジェクト のような支援機関が増えたことで、より多様な働き方が選べる社会に向かうノウハウ・前例ができ始めています。
今回紹介した3つの支援機関の特徴
支援機関 | 主な対象 | 学べるスキル | 特徴 |
---|---|---|---|
ニューロダイブ | 発達障害の方 | データサイエンス・AI・RPA | 高度ITスキルで専門職を目指す |
マナビー | 在宅ワーク希望者 | Webデザイン・プログラミング・事務 | eラーニングで在宅就労支援 |
MamaEduプロジェクト | シングルマザー・ひとり親 | Webデザイン・マーケ・ライティング | 最大193万円の補助金が利用可 |
制約があっても、「働きたい人が働ける社会・状況に応じて柔軟に働き方を選べる社会」になることを望みます。これから就職や転職を考えている方は、従来の選択肢にとらわれず、自分に合った支援制度を活用してみてください。
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